保存不可能な歯を抜歯。骨造成術ののちインプラント治療を行った症例<詳細>
【術前口腔内写真】
初診時パノラマX線写真
右下奥の歯を嚙み合わせた際の痛みを主訴に来院。歯の根が割れており保存不可能で抜歯適応状態でした。また手前の歯がすでに他院でインプラント治療がなされており、抜歯後ブリッジでの治療は困難と判断、患者さんの意向もありインプラント治療を行う事としました。
初診時所見
下顎右側6番の頬側近心の歯肉は軽度の腫脹あるも、その他の部位の歯肉は引き締まっています。
下顎右側6番の近心根周囲の歯槽硬線が消失し、歯槽骨のX線透過性の亢進を認めます。
抜歯前のCT所見
下顎右側6番の頬側歯槽骨が失われています。
頬側歯槽骨の吸収が進んでいることが分かります。このままではインプラント治療は困難、骨造成の必要があります。
治療計画の立案
下顎右側5番がインプラント治療がなされており、天然歯である同7番とのブリッジによる治療は予後不良となるため推奨できず、患者さんの希望もあり下顎右側6番部はインプラント治療を行うことになりました。しかし、インプラント埋入するには骨の量が不足しているため、人工骨と自己血から調整するフィブリン膜とPRPを用いた骨造成術を行う必要があります。骨造成後骨ができるまで6か月間まってインプラント治療を行うこととしました。並行して歯周病治療を行いました。
骨造成術
抜歯後抜歯窩を丁寧に掻爬した後、人工骨にPRPを混入させ、一塊にまとめて骨欠損部に移植しました。
人口骨膜として血液よりフィブリン膜を調整します。
移植した人工骨と歯肉弁の間にフィブリン膜を留置して閉創しました。
抜歯後骨造成術後6か月
骨造成術術後6か月
インプラントを埋入するには骨の量が不足していたため、歯を抜いた後2020年11月に「骨造成術」を行いました。充分に骨が出来るまで6か月間待ちました。
下顎右側6番部の歯肉粘膜の状態は良好です。
骨造成部のX線透過性は周囲歯槽骨と概ね均一になってきています。
インプラント埋入
Landmark Systemを用いてインプラント埋入のシミュレーションを行い、ガイデッドサージェリーを行います。
インプラント埋入前の骨の状態です。
インプラント上部構造装着
φ4.7mm×11.5mm Lagacy System Implant(IMPLANT DIRECT社) を埋入し、シミュレーション通りの位置にインプラントを埋入しました。
インプラントと骨が結合するまで3ヶ月の期間をおいてからジルコニアスクリューリテインタイプの上部構造を装着しました。